米国大手の格付け会社が電力会社に忠告、マイニング事業者への電力供給リスクとは!?
米国の核付け会社のフィッチ・レーティングスは今月24日に米国公共電力会社に対して、仮想通貨マイニング事業者への電力供給のリスク性の高さを指摘した。
米国の各州毎に電力供給を行っている公共の小売事業者は、マイニング事業者への電力小売りにより一時的に販売量が増加したとしても、発電源のエネルギー確保を確保しなくてはいけない上、使用する燃料は今後、クリーンな資源を活用することが必要になる。またこれらエネルギー源をトレースしたときに証明することも重要。
現在、ワシントン州のエリアにおいてマイニング事業者の件数が増えているようだが、この背景には、これまで主な電力供給先として運営されていた、アルミニウム製錬事業所の閉鎖が進んでいることが関係している。
発電した電力の消費先が無くなり、余剰電力が大量に発生していることで、電量の需給バランスの均衡が崩れ、大規模停電を引き起こすリスクも考えられる。
また、マイニングによるビットコインのインセンティブが地域経済を潤すことも考えられていたが、フィッチ社はマイニング事業者は電力会社にとって最大の顧客になる一方で、「マイニング事業は地域の雇用創出や補助的なビジネスとしては経済的な利益はもたらさない」と評価しており、域内総生産(GRP)には貢献しない見方がされている。
「仮想通貨マイニングの不安定で規制されていない性質と大量の負荷要求により、ワシントン州の多くの公益事業者は2014年から、仮想通貨負荷モラトリアム、高リスク産業のリスクを考慮した料金体系、顧客集中制限など、仮想通貨マイニング事業者へのエクスポージャーを軽減するための新しい手法を採用している」
https://jp.cointelegraph.com/news/fitch-ratings-warns-of-risks-crypto-miners-pose-to-us-power-supply
基本的にマイニング事業者は利益目的でマイニングマシーンを稼働させるため、採算性が取れない場合すぐに事業を撤退する可能性が高い。
目先の利益に捉われて、必要以上の発電所を設備投資したとしても継続的に事業が続けられない限り、すぐに発電量が超過してしまうので、結果的に住民が支払う電気代に跳ね返ってしまうリスクも高く、同社がマイニング事業に対して懐疑的な意見を抱く要因になっているのだ。
同社はこれまでも仮想通貨のボラテリティや運用リスクについて、国家単位で警鐘を鳴らし続け、仮想通貨を国家や州ごとの公共事業として取り入れるリスクを説明してきた。
ビットコインマイニングに関しても、エルサルバドルのように国家の法定通貨として活用されているケースを除いては、マイニング事業における地域の貢献性はあまり高くはないと言えるだろう。