中国の大手出前サービスの美団、中国デジタル人民元の決済を導入!

中国の出前サービス大手の美団(Meituan)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)による代金の支払いを同社のサービスアプリと連携させることを発表した。

デジタル人民元(e-CNY)のウォレットとリンクされることで、飲食店や小売店などの様々なサービス利用時にアプリを介した決済が可能になり、ユーザーが中国人民銀行のe-CNYプラットフォームに登録することで、膨大なビックデータを集めることができる。


中国人民銀行(中央銀行)の金融市場担当責任者であるZou Lan(ゾウ・ラン)氏は中国人口の約5分の1に相当する2億6100万人の個人ユーザーが「e-CNY」ウォレットをダウンロードし、875億元(約1兆5780億円)相当の取引が既に行われているという。

中国は昨年9月に国内のマイニング事業を禁止、ビットコインはじめ、暗号通貨による決済サービスの受け入れを制限する方針をとっている。デジタル人民元と違い、非中央集権的な仕組みで管理されている暗号通貨は、マネーロンダリング(資金洗浄)を呼び込む危険性があるとして、この無秩序なデジタル通貨の流れを取り締まった。

昨年に中央銀行のe-CNY研究開発ワーキンググループが発表した研究論文によると、デジタル人民元の目的は以下のようなものがある。

  • 中央銀行が国民に提供する現金の形態を多様化し、国民のデジタルキャッシュに対する需要を満たし、金融包摂を支援する。
  • リテール決済サービスの公正な競争、効率性、安全性を支援する。
  • 国際的なイニシアティブに足並みをそろえ、国境を越えた決済の改善を模索する。

中国では美団(Meituan)以外にもAlibaba(アリババ)やDidi(ディディ)などのアプリと連携される予定になっている。まだ、試験的に運用している段階であるが、予定では2月4日から開催される冬季オリンピックに導入され、期間限定で一般に公開されるようだ。

日本でも日銀の黒田総裁が2026年までにCBDCの発行計画の判断を行うとしており、中国や米国と比較すると慎重な姿勢を見せているが、今後の国際貿易時にCBDCを用いた貿易がどのような影響を与える事になるのか、国際通貨の基盤を握る覇権争いに日本がどのような立ち位置で関わる事になるのか。
今年の冬季オリンピックは競技だけではなく、このような金融市場の背景も意識しながら動向を把握したい。

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